日経ビジネスの Amazon/Google の記事の感想

今年9月、戦後日本の流通革命を主導したダイエー創業者、中内功氏が世を去った。大量生産、大量販売で大衆を煽るマス経済は終わり、消費者一人ひとりを個人名で呼び、その人のためにカスタマイズした製品、サービス、情報を提供する「ナノ経済」が始まった。

会社でたまたま目についた日経ビジネス、表紙にでかでかと「グーグル」「アマゾン」なんて書いてたものだから、気になって読んでみました。

先日 Amazon のIR発表で、日本における Amazon の売上高、つまりは Amazon.co.jp の売上高が Amazon 全体の 10% 以上あると発表されました。それを受けての分析がなされてる記事で、単純計算でも Amazon.co.jp の売上高は 800 億円に達し、結果 450 億円強の楽天にも大差をつけている、との話。それから紀伊国屋の売上高(1,184億円)との比較もあったりして、よくまとまっていると思った。

検索連動型広告が伸びている例として、福井県の鯖寿司屋が Overture への広告出稿で業績をあげてる話なんかも載っていて、"ネットのこちら側" にいる人たちにも実感が伝わりやすい記事だと思います。

でも、肝心の、Amazonがなぜそこまで強いか、という話の分析が"人々がアマゾンで商品を買う最大の理由は単純で、「低価格」であることだ" としている点にすごい勢いでツッコミたい。

価格や安くて品揃えが良かったら覇者になれるというのだったら、楽天Amazon にそこまでの差がつくはずがないし、Amazon がそこまで大勝できるはずがない。インターネットでは Amazon よりも安く品物を手に入れられるサイトはいくらでもある。

続く話に価格以外にも、他には品揃えの良さや利便性というところも加えてはいるものの、そこにインターネット全体の動きを捉えた分析がほとんどなされていません。

じゃあ強さの本当の理由は何か、と聞かれたら「検索エンジンに最適化されている」という具体例を挙げつつ、ウェブのトラフィックの流れ方を Amazon が熟知しているからだという結論になるのが正解でしょう。まあ、そんな話をしても"こちら側"の人たちには実感がないので、理解してもらうのが難しいかもしれないですが。さすがに日経ビジネスAmazon Webサービスの話をするわけにもいかんだろうし。

昨今のウェブのビジネスは検索エンジンを切り離して考えることはできない、というのもずいぶん前から常識になっていて、この記事では後半でそのことについて強く訴えかけているのに Amazon 必勝の秘訣がそこに結びつけられてないのが勿体無い。やっぱりテクノロジーの話を簡単に伝えるのは難しいということか。ということでいい記事だけど星4つ。