さくらインターネット移行記#1

先日のライブドアのテクノロジーセミナー(http://d.hatena.ne.jp/naoya/20061214/1166063145)でも少し触れたのですが、はてなのサーバーは今後さくらインターネットiDCでホストすることになりました。

複数の iDC を検討しましたが、最終的にさくらインターネットに決めた理由は回線品質の高さと回線が低価格である点でした。

はてなのようなコミュニティ中心のサービスは、お金の面では、どうしても回線コストと収益の間にアンバランスが生じがちです。ショッピングサイトや各種メディアのようなコンテンツに比べてマネタイズが難しい、というのがその主な理由です。

例えばはてなトラフィックの多くははてなダイアリーの日記へのアクセスで占められていますが、基本的に個人の日記にははてな側からは広告を掲載しないポリシーでいます。そのためトラフィックを多数必要とされる箇所で収益をあげることができず、なんとかそのコストを他のページであがった収益でまかなう必要が出てきます。商売指向のサイトでないことの皺寄せは、こういったところに来るというのがおそらく同業者の共通認識でしょう。

同じようにコミュニティサービスをやっている MixiGreeさくらインターネットを選択しているのには、おそらくこういった懐事情も結構あるのではないかなと思います。昨今ウェブで流行しはじめたサービスはどれも似たような傾向を持つものが多いので、さくらインターネットのような回線価格で勝負している業者の需要は今後も増していくのではないかと予想しています。

あと、さくらインターネットの社長の笹田さんが MMORPGEverQuest (以下EQ) オタクで、同社の主なメンバーは EQ のギルドで一緒にやってた仲間から集めたとか言ってまして、同じくヘビーに EQ にはまっていた僕とシンパシーを感じまくったというのも選定の理由です。いや、選定の理由だったのは嘘。

さて、「移行」と一言で言ってもシステム作業的には結構な労力を必要とします。その作業をつい昨日行ってきました。本格的な iDC の利用開始という意味ではてなにとって非常に大きな意味をもった一日だったと思います。せっかくなので、写真撮影の許可もいただいたことだし、その様子をちょっとレポートしてみようと思います。データセンターの裏側を見れる機会ってのもそんなにないことですしね。サービスの裏側ってどうなってるのかなー、という方は是非写真と一緒に想像を働かせてみてください。

まずはオフィスで事前準備。以前京都から東京に引っ越してきたときとは規模も違うので、いきなり既存サービスを止めつつごっそり移行というわけではなく、今回は少しずつやっていく方針です。

最初の1ラックで使うサーバーを用意します。サーバーは例によって自社製フレームに収まったこんな見てくれのもの。

これだけの台数が並ぶと結構壮観です。OS をインストールしたり、稼動させるサービス用の各種サーバーをセットアップしたりを行います。最近僕がしきりに言ってる LVSVRRP冗長化して、ばっちりです。

今回持っていくサーバーは台数がそれほど多くないので、自分たちで車で運ぶことにしました。あくまで自分たちで、それがはてなクオリティ。車内の振動でサーバーが壊れないように梱包します。

と、全部自作とみせかけておきながら、本格的 iDC の利用開始ということで、いわゆる 1U サーバーもちょっと使って使用感を試したいと思い、2台ほど持っていくことにしました。写真は Sun Fire X2200 M2 と X2100 M2 です。CPU は Opteron で、OS は Linux です。はてなサーバーに比べるとえらくかっこいい。萌える。いや、比べる対象が間違ってる。

社用車のインプレッサにみんなで積み込む。普段あまり車は使わないはてな社ですが、この日は大活躍でした。

幹事マン運転のもと、いざ出発! ほかメンバーは交通機関で追いかけます。

で、到着(早) 後続組みが追いかけた過程もご報告といきたいところですが、iDC はその性格上通常は場所とかは秘密なんです。すいません。適当に想像してください。

にやけながらラックの扉をあけます...

これがおれたちの新しい城じゃーーー!!!! と盛り上がる一同。いや、ほんとに。ここ盛り上がるとこですから!

旧サーバールームLANと新iDC LANの間での通信が移行が完了するまでしばらく必要なので、内部ネットワーク同士を VPN で結んであります。あらかじめさくらさんで設置してくださった VPN 関連のスイッチがマウントされています。

ラックの底はこんな具合で空洞になってます。

遊ぶ場所間違ってますから、社長。

気を取り直して、まずは Sun Fire をマウントします。レールを先に取り付けます。iDC での作業経験者が一人もいなかいこともあって、結構苦戦。レールの取り付けはおそらく手馴れても一人だと難しそう。二人で両脇から作業をすると効率がよさそうです。

苦労してレールを取り付けて、いざ Sun Fire をマウント...

ぬおおお、かっこええー! と大騒ぎになりました。が、ここで事件発生。裏表間違ってます、先輩。工工エエエエ(´Д`)エエエエ工工。ということで気を取り直してやり直し。

レールを付け直し、慎重に一台ずつマウントしていきます。レールにそって 1U サーバーが収まっていく瞬間はなんとも言えない爽快さがあります。

ぬおお、かっこいい...。というかこれがサーバーだよね。自社製サーバーしかみたことない id:kiyohero がはじめて Sun Fire をみたときに「これ何ですか!? もしかしてサーバーですか?! これほんとに動くんですか!」と言い放ったのは歴史に残る一コマだったと思います。動くっちゅうねん。

裏から見るとこんな感じ。改めて萌えますね。

サーバーもマウントできたところで、ネットワークの設定もはじめます。あらかじめ高速回線とつながった Ethernet ケーブルが配置されているので、自分たちのルーターにそれをくっつけつつ設定などを行います。

手分けして、自社製サーバーもラックに積んでいきます。力仕事、がんばれおまいら。

なんか写真ばっか撮ってて仕事してないように見える僕ですが、ちゃんとやってますよ。これ証拠写真ね。

途中いくつかトラブルもありましたが(LVS 設定ばっちり! と思ってたけど例によって LVS の設定ではまりましたw)、無事全サーバーの搭載を完了し、ネットワークの疎通を確認中。iDC に設置したけどネットワーク疎通してないよ! とかなるとまた戻ってこないといけませんからね。この辺りは慎重に。ちょっとケーブルが絡まってますが、ご愛嬌。この辺はおいおい整理していきます。

ネットワーク開通を確認して、iDC 立ち上げ第一段階完了。広い iDC でみんなで大騒ぎして帰ってきました。

自社製のへんてこなサーバーを持ち込みも OK でしたし、VPN の構築とかもかなりスムーズにやってもらって、さくらインターネット++ でした。当日、自社製サーバーを置く棚板が、本来想定していたものと違っていたのですが、すぐに別の iDC から希望通りのものを持ってきてくれたりもしました。

そんなこんなで iDC の立ち上げ1ラック目が完了しました。いまはこのラックで動かすサービスの最終調整をリモートから行っています。

今後も気が向いたら、更にラックが増えて拡大していく様子もレポートしてみたいと思います。お楽しみに。