変化は急には起こらない

自分を取り巻く周囲、物事の変化は急には起こらない。急に起こる変化というのは非常に希だろう。

社会情勢にしてもビジネスにしてもコミュニティにしてもそうだが、何か変化を誘発する動きがあった時、すぐにそれが社会やコミュニティ全体に変化を及ぼすというよりは、その動きが小さな部分に変化を起こして、そこがゆっくりと徐々に拡がっていって気付いたら全体が変わっていた...というようなことが多いように思う。

特にその変化が起こっている環境の当事者や一部分でいると、変化を感知することが難しい。日々の変化はごくごく微少だから、慣性が働いてしまって、それを感じ取ることができない。改めて一年前ぐらいを振り返ったときに「ああ、変化したんだな」ということが、そのときになって分かる。多くの人は、多くの変化に対してそうであろう。

希に当事者でありながら変化に自覚的である人がいる。それは特定の人があらゆる現象に対してそうであるというより、"ある人がある特定の事柄に関してそう" ...という限定的な適正であるように思う。「自分は未来が分かるのではなく、人より少し先に変化を感じることができるんです」というようなことを言った人がいたと記憶している。

そういう分野を運良く見つけられて、且つその適正に自覚的であった人は、その分野で大きな仕事を成し遂げるのではないかと思う。そこでより重要なのは「その分野を見つけた」ことより「その適正に自覚的であった」ということではないかというのが、自分の思うところである。

なぜその人がその変化について人よりも先に感じることができるのか。それはその人が、いつもそのことばかりを考えているからであり、且つその際、変化を察知するために、当事者になるだけでなく一歩引いて客観的になる必要がある、そういうことに「自覚的である」からだろうと思う。