はてなブックマークとTagging

はてなブックマーク以外のソーシャルブックマークサービスを見渡すと、そのほとんどがブックマークの横串刺しのために Social Tagging、つまりは Folksonomy アーキテクチャを採用しています。当初はてなブックマークを開発する際もタグの実装をするかどうかを議論しました。

話はちょっと変わるのですが、はてなブックマークの一番良い所っていうのは何でしょう。その中の一つ(僕は一番だと思っているのですが)は、"○○users"をクリックした先、エントリーページでブックマーカーのコメントをまとめて閲覧できることだと感じています。

自分がブックマークしたページに、他の人はどんな感想を抱いているのか。賛同しているのか、疑問をもっているのか。コメントが付けられていれば、エントリーページでそれを俯瞰することができます。

タグにも同じ側面があると思います。今読んだページに、その人がどういうタグを付けたかから、その人はそのページに何を感じたかを想像することができます。でも、文章、文脈で感情を表現するという意味合いにおいては、タグの表現力がコメントのそれを上回ることは決してないでしょう。

両方実装すればいい、とも思います。でも、いまそのとき見ているページをブックマークするという行為は、極力シンプルでなければいけません。ページを読んで何を感じたかをおもむろに記していくという行為の流れをなるべく阻害しないよう単純な作業であるよう、とどめておく必要があると思っています。

タグをつける作業とコメントする作業は、人の思考回路の視点から考えると、そのページに書かれていることを要約するという非常に似通った作業ではないでしょうか。コメント欄、タグ欄が両方備わったインタフェースで、その両方を毎回入力するのはなかなか面倒です。(実際 del.icio.us でコメントを丁寧に記しているユーザーはそれほど多くないようです)
ゆえに、タグによって分類による共有を促すことと、コメントによる感想の共有をすることは、両立できそうでなかなか難しいのではないかと感じています。

はてな的には、各ダイアリーの間を結ぶキーワードページが情報としての価値を持っているように、各ブックマークを結ぶエントリーページに情報としての価値を持たせたいと思っています。そうなると、そこにはタグの羅列が並んでいるよりも、コメントが並んでいる方が、遥かに情報としての価値があるはずです。(もちろん、コメントがないブックマークも、そのページがどれぐらい関心をもたれているかという数字に寄与するので価値を創出しています。)

そんなわけで、今のところタグの実装には至っていません。とは言え、自動カテゴライズやキーワード抽出による横串があまりうまく機能していないのも、一ユーザーとして認識しています。その辺りをどのような手段で解決していくかはまだ考えきれていません。それはタグかもしれないし、自動抽出の精度を上げることかもしれないし、また別の方法かもしれません。

それに Tagging を実装したソーシャルブックマークは他にたくさんあるし、単純に同じことをやるのはなんだかはてなっぽくないなあとも、思うわけです。