del.icio.us 買収に関してのつぶやき

del.icio.usYahoo! Inc に買収されたのは、こういう新しいタイプのウェブアプリケーションを作っている企業 (もうなんとか 2.0 とかいうのはやめた) にとっては一つの朗報かなと思う。価値のあるアプリケーションを作っていれば、ちゃんと目をつけてくれる人が出てきて、ゴールを用意してくれるという意味で。

一方で、警鐘でもあると思う。BloglinesFlickrdel.icio.us のような、注目を集める新しい企業(サービス)のゴールが、やっぱり買収されるしかないんじゃないの? という見方に拍車がかかりそうだから。そして、買収されてゴールを迎えられるのは BloglinesFlickrdel.icio.us のような、世界でも指折りのアプリケーションじゃないといけない。華々しいアーティストの成功の裏には、膨大な数の屍があるというのと同じ話で。

個人的には、BloglinesFlickr は、もし買収とかではなく、独自で売り上げを立てていくとしたら課金とかそういう、割と営業努力と直結してそれに比例するようなモデルしか考えつかなかったんだけど、でも del.icio.us はそれらとは違うアプローチが取れそうだと思っていました。閉じていない public なサイトで、他のウェブ上から URI を集めてデータを作り、それをユーザーに還元する、というのは基本的に検索サービスと同じようなことをやってるわけだし、検索サービスの前例を見るに、ビジネス面でも梃子の原理が利きそうなことができそうな気がしたから。

なので、del.icio.us は買収される前にもう少しビジネス的なところで色々やるところを見てみたかった、というのが本音。

小さく単独で動いている頃は、明日にもキャッシュがなくなるかもしれないから、とにかくいろんなことを試して売り上げがたつように、あるいは資金を調達できるようにという力学で企業が動く。一方、巨大企業に買収された場合、その買い手の価値基準が物差しになるため、そういう力学が働かなくなる可能性が高い。GoogleAdWords とか、Amazonアフィリエイトとか WebServices とかっていうのは、前者の力学の中から生まれてきた物だと思う、という風に見てるので、買収された後よりも、買収される前のほうが、突拍子もないものが出せそうだなと思ってたんだけど。

まあ、Yahoo! Inc に統合された後に、Overture とかと組み合わせたすごい大きなモデルが出てくる可能性はあるし、大はずれかもしれないけど。